2010年2月6日

アルドリッチの潔さを堪能しよう

『ロンゲスト・ヤード』

The Longest Yard
1974年/アメリカ
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:バート・レイノルズ エディ・アルバート マイケル・コンラッド ジム・ハンプトン エド・ローター ジョン・スティードマン

評点:★★★★★★★★☆☆

 もう、スポ根ものには弱くてね。例えば『メジャーリーグ』なんていう作品があって、映画としての出来がどうこうとか、主演のトム・ベレンジャーに決定的に才能が欠けているとか、そんなことどうでもよくなるくらいラストシーンには涙してしまう。そういえばその『メジャーリーグ』でインディアンスがワールドシリーズを制するラストは、逆転サヨナラ満塁ホームランとか無死満塁のピンチを三者三振に抑えるとかそんな(野球をよく知らない人にも)劇的で判りやすい展開ではなかった。ベレンジャーが予告ホームランをした直後のセーフティスクイズという、地味で、一瞬何が起こったのかわからない成り行きだったからこそ、妙に印象に残っているのかもしれない。
 クライマックスが地味という意味では、この『ロンゲスト・ヤード』も『メジャー』と似ている。レイノルズが選手たちの背中に駆け上がり、その瞬間残り時間がゼロになる。レイノルズは選手ともどもゴールラインに倒れこむ。審判がピーッと笛を吹き、囚人チームが勝利したことがわかる。こんな地味な成り行きが映画のクライマックスに正当的になるのだから、演出家アルドリッチは凄い。残り時間をつぶさに捉えて寒いサスペンスを作り出すのは御免こうむりたい。じゃあ、あっという間に残り時間をゼロにしちゃえばいいか。レイノルズがどうやってタッチダウンをするかなんて、別になんでもいいんじゃないの。こんな成り行きで作られた奇跡のクライマックスだろう。潔いといえばこんな潔さもない。
 それにしても、寄せ集めチームを作るためにメンバーを掻き集めるシーンっていうのはワクワクするね。映画における「活劇」と言ってもいいかもしれない。本作も『メジャー』もそうだが、例えば『スペースカウボーイ』でイーストウッドが旧友ジジイ連中に声をかけて回るシークエンスもとても面白い。

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