2009年1月31日

ドッグヴィル

DogVille
2003年/デンマーク
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマン ポール・ベタニー クロエ・セヴィニー ローレン・バコール パトリシア・クラークソン ベン・ギャザラ フィリップ・ベイカー・ホール ジェームズ・カーン ステラン・スカルスガルド

説教臭さとこれ見よがしな構図が鼻についた『ヨーロッパ』以来、フォン・トリアーは敬遠してた。(あの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』さえ観ていない!)

グレースを投票で受け入れるまでの牧歌的な雰囲気はどこへやら、中盤以降はあまりの陰惨さにびっくりするが、これはなかなかイイです。白線で仕切られただけのまぼろしの建物が立ち並ぶドッグヴィルの町。始まって10分もすればこの構図にも慣れる。

美術的な小道具を含め余計な装飾を削ぎ落としたこの作品、役者によって支えられている映画だ。主役のニコール・キッドマンの美しさと存在感は言うまでもないが、トムの父親ベイカー・ホール(『マグノリア』のクイズ司会者が印象的)に、ギャングのボスを老練な佇まいで演じるジェームズ・カーン。そして、嬉々としてグレースの太腿を撫でる盲目の老人はベン・ギャザラ!

ラスト、黒塗りのキャデラックでのグレースと父親の会話が冗長だが、その後に訪れる未曾有のカタルシス。人間のダークな裸の部分を赤裸々に観客に見せつける様はカサヴェテスに通ずる部分もあるが、悪意を感じる分だけ俺には重い。

しかし、フォン・トリアーって人は壮大な釣り師だねw

★★★★★★★☆☆☆

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