2010年1月10日

意外に地味な映画

『オーメン』

The Omen
1976年/アメリカ
監督:リチャード・ドナー
出演:グレゴリー・ペック リー・レミック デヴィッド・ワーナー ハーヴェイ・スティーヴンス ビリー・ホワイトロー


評点:★★★★★★☆☆☆☆

 小学生のときに観てちょっとトラウマになってしまった映画。久々に観たが、案外に地味な作りなので驚いた。
 デヴィッド・ワーナー首チョンパのシーンはかなり後半なんですね。子供の頃観たのは、テレビ用にかなり短縮したヴァージョンだったのだろう。カット毎の余韻がとても長く、アメリカ映画の底力を感じさせる。
 キリスト教圏外の日本でしかも無宗教の自分にとっては、宗教的な描写は退屈でしかないのだが、悪魔の子ダミアン自信にほとんど邪悪な感じが窺えない。これはとても致命的な欠陥だと思う。ラストカットでカメラのほうを振り向いてニヤリと笑う場面だけで(悪魔の申し子としての)ダミアンの邪悪さを表現しようというのは、さすがに虫が良すぎるんじゃないか。いちばん怖い顔は乳母役のビリー・ホワイトローってんじゃ、ホラー映画としてはあまりにもパワー不足だ。ここは演出家のリチャード・ドナーにもう少し頑張って欲しかったが、まあ無いものねだりってことか。
 乳母の首吊りや神父の串刺し、救急車の屋根に落下する母親や、前述のデヴィッド・ワーナー首チョンパなど、人が死んでいく場面のインパクトはなかなかで、特に首チョンパ場面はあらゆる角度から執拗に首が飛ぶ場面を見せる。やっぱりこういう描写が我々を興奮させるのだ。
 前半はあおりのクローズアップが随分多いが、ドライエルの『裁かるゝジャンヌ』をやりたかったのだろうか。かと思えば後半は俯瞰のショットが散見され、カメラの使い方も贅沢だなあ。

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