2010年1月16日

0点を狙って0点を取ってしまったかのような危うさ

『監督・ばんざい!』

2007年/オフィス北野=東京テアトル
監督:北野武
出演:ビートたけし 江守徹 岸本加世子 鈴木杏 吉行和子 藤田弓子 内田有紀 木村佳乃 松坂慶子 大杉漣 井出らっきょ

評点:★★★☆☆☆☆☆☆☆

 ぜっっっっっんぜん面白くない! しかし、ここで★1点をつけてしまうと、たけしの策略に嵌まるような気がして、★3つにしておく。このあたりの微妙な評価がこの映画にはお似合いだ。
 0点を狙って0点を取ってしまったかのような危うさは、個性的な作家に許された特権階級なんではないか? それは例えばゴダールであったりタランティーノであったりするわけだが、たけしはなぜか(本作でも言及されている通り)過去12作品の中で客がまともに入ったのは1作だけだと吐露する。それでも次回作が撮れてしまうのは、バラエティ番組でのギャラを映画製作に充てているからだろうと推察できるが、こんなフェリーニの『8 1/2』の出来の悪い換骨奪胎みたいな映画で観客を煙に巻こうとは、いくらなんでも虫が良すぎるでしょう。
 岸本と鈴木杏が新幹線と電車を乗り継いで行く場面なんかは、映画としてのロケーションとセット撮影の間を揺れ動く危うさを体現しているし、映画作家ならではの表現ではあるものの、特に映画後半で面白いシーンはそれくらいしかなく、画面造形自体の薄っぺらさは如何ともし難い。ただ、唯一びっくりしたのは内田有紀の奇跡的な可愛さと素晴らしきスタイルの良さ。30歳過ぎてイイ女になってきましたね。
 映画の初っ端で否定しちゃってるのにこんなこと言うのもあれだけど、我々は再度『その男、凶暴につき』や『ソナチネ』のようなギャング映画が観たいのだ。お願いしますよたけしさん!

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