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2009年10月3日

アカルイミライ

2002年/「アカルイミライ」製作委員会
監督:黒沢清
出演:オダギリジョー 藤竜也 浅野忠信 笹野高史 白石マル美 りょう 加瀬亮 はなわ 松山ケンイチ

黒沢清の中でもとりわけ奇妙な味わいを持った作品だが、これはなんとも評価の難しい映画だ。危険な映画と言っていいかもしれない。だが、「これが現代日本映画だ!」と断言できる自信もなければ、正直言って、胸を張って「面白い」と言う自信もない。暗喩に満ちた作り自体が好きではないし、意味なくザラつかせた画面の質感も俺好みではない。

日本映画を託すべき存在の黒沢清がこういう方向に行ってしまってはイカンのだが、この後はしっかり『LOFT ロフト』『叫』で軌道修正を試みているのは良しとしよう。

ミもフタもないことを言ってしまえば、浅野忠信が独房での自殺で早々に映画から退場してしまうのが最大の欠点だと思うのだがどうか。それだけ浅野忠信という役者は映画の空気そのものを左右する存在にまで至っている。黒沢清は浅野に「あなたが演じるのはテロリストです」というアドバイスをしたらしい。ここで浅野が演じるのは正に、テロリストとしか言いようのない存在である。

クルマの画面分割はフライシャーの真似か? あまり上手くいってないし、これはちょっと見てて恥ずかしいなあ。

★★★★★☆☆☆☆☆

2009年4月25日

トウキョウソナタ

2008年/日本=オランダ=香港
監督:黒沢清
出演:香川照之 小泉今日子 小柳友 井之脇海 井川遥 
役所広司 津田寛治 児島一哉

アマゾンで予約してて今日届きました。恵比寿ガーデンシネマで2度見たのに、もう3度目の観賞。

黒沢清らしい、ピンと張り詰めた緊張感みなぎる画面作り。もうたまらんっす。特典ブックレットの香川照之(この人も大した役者です)がインタビューで、「どのカットにもホラーが潜んでいる」と、黒沢に最大限の賛辞を送っている。黒須の無理心中を知らず、自宅を訪れる佐々木。カーテン越しに黒須夫妻の亡霊が見える・・・ような気がしたのは、俺だけじゃあるまい。

ストーリーが現実らしさに収斂されることを嫌う黒沢清にとっては、劇作中で唐突に訪れる「できごと」は、あくまで副次的要素でしかないのだ。だから、少しずつではあるが、故意に「現実っぽさ」からズラしている。劇的な物語などどこにもないが、画面そのものが劇的であるというのは、ある種の尊大で稀有な映画作家だけに許された、特権階級なのだ。

次男の入学試験におけるピアノ演奏の場面。映画を見てる我々に対してさえ、背筋をピンと伸ばして画面に見入ることを強制する、驚愕すべきシーンだ。これはまぎれもなく演出家のウデだろう。ラストシーンはもちろん、ハローワークの行列や、炊き出しへの人の群がり方はアンゲロプロスの映画にそっくり。
それにしてもキョンキョンもすっかりオバサンだなぁ。

★★★★★★★★★☆

2009年2月14日

LOFT ロフト

2005年/ 「LOFT」製作委員会
監督:黒沢清
出演:中谷美紀 豊川悦司 西島秀俊 安達祐実 鈴木砂羽 大杉漣 加藤晴彦

う~ん・・・さすがにこれは擁護できんぞ黒沢清。あんまりストーリーの辻褄合わせには興味ないが、さすがに(いろんな意味で)破綻しすぎだ。

相変わらず幽霊の見せ方なんかはとても巧いのだけど、登場人物たちのキャラクタライズにもまったく興味がもてず、終盤は苦笑いするしかない。

このあとの『叫』は本作のセルフリメイクみたいなもんで、そっちのほうは成功してるんだけどね。

★★☆☆☆☆☆☆☆☆