2008年/日本=オランダ=香港
監督:黒沢清
出演:香川照之 小泉今日子 小柳友 井之脇海 井川遥 役所広司 津田寛治 児島一哉
アマゾンで予約してて今日届きました。恵比寿ガーデンシネマで2度見たのに、もう3度目の観賞。
黒沢清らしい、ピンと張り詰めた緊張感みなぎる画面作り。もうたまらんっす。特典ブックレットの香川照之(この人も大した役者です)がインタビューで、「どのカットにもホラーが潜んでいる」と、黒沢に最大限の賛辞を送っている。黒須の無理心中を知らず、自宅を訪れる佐々木。カーテン越しに黒須夫妻の亡霊が見える・・・ような気がしたのは、俺だけじゃあるまい。
ストーリーが現実らしさに収斂されることを嫌う黒沢清にとっては、劇作中で唐突に訪れる「できごと」は、あくまで副次的要素でしかないのだ。だから、少しずつではあるが、故意に「現実っぽさ」からズラしている。劇的な物語などどこにもないが、画面そのものが劇的であるというのは、ある種の尊大で稀有な映画作家だけに許された、特権階級なのだ。
次男の入学試験におけるピアノ演奏の場面。映画を見てる我々に対してさえ、背筋をピンと伸ばして画面に見入ることを強制する、驚愕すべきシーンだ。これはまぎれもなく演出家のウデだろう。ラストシーンはもちろん、ハローワークの行列や、炊き出しへの人の群がり方はアンゲロプロスの映画にそっくり。
それにしてもキョンキョンもすっかりオバサンだなぁ。
★★★★★★★★★☆
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