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2010年1月11日

ドン・シーゲル&イーストウッドが思い出に変わる前に

『アルカトラズからの脱出』

Escape from Alcatraz
1979年/アメリカ
監督:ドン・シーゲル
出演:クリント・イーストウッド パトリック・マクグーハン ロバート・ブロッサム ジャック・チボー フレッド・ウォード ポール・ベンジャミン ラリー・ハンキン


評点:★★★★★★★★☆☆

 脱獄モノと言えば、まず思い浮かぶのがジャック・ベッケルの『穴』(1960)か。何度も何度も観たなあ。実にサスペンスフルな傑作であった。ブレッソンの『抵抗-死刑囚の手記より-』(1956)も、変化球ではあるが良作。しかしそれでの脱獄囚は、暇潰しがてらちょっと脱獄でも企ててみましょうかという感じで、確かにサスペンスではあるが、いかにもヘンな映画ではあった。あとは、アラン・パーカ-の『ミッドナイト・エクスプレス』(1976)も鮮烈に脳裏に焼きつく。しかしこれはラストシーンで僥倖的に脱獄のチャンスが巡って来たというだけであって、正確に言えば脱獄モノではないと思う。映画史には『ショーシャンクの何とか(笑)』なんという、愚にも付かぬ凡庸で恥ずかしいジャンル映画があったが、あれは何か質の悪い冗談だったことにしておこう。スティーヴン・キングの傑作小説「刑務所のリタ・ヘイワース」を、どのようにすればあれほど平面的な画面設計に映画化することができるのだろうか。フランク・ダラボンに全く才能が欠けていることは間違いない。
 さて、この『アルカトラズの脱出』はまさに正統派の脱獄映画だ。まず、ブルース・サーティースの撮影が素晴らしいとしか言い様がない。何というクリアーで透明感の強い画面作りだろう。映画は終始、暗い暗いアルカトラズ刑務所の中で展開されるわけだが、3人が脱獄に成功した後の陽光が燦燦と降り注ぐラストシーン(パトリック・マクグーハンが菊の花びらを手に取る!)と、それまでの大部分との対比が見事だ。
 また、本作は「音」の映画だ。看守の靴音。牢屋の扉が閉まる重い音。スプーンが床に落ちる音。イーストウッドが腐ったコンクリートを爪切りで削る音。そして、”ドク”が自分の指を鉄斧で切り落とす鈍い音・・・。この場面での静かなサスペンス演出には心底感動した。ウルフとイーストウッドの微妙な距離感なんかも至妙であって、どうやったらあんなことが可能なのか。やっぱりシーゲルは凄いと思う。
 いわくつきの刑務所の金属探知機をはじめとしたセキュリティがあんな稚拙なわけないだろ!とは思うし、説話論的なツッコミどころは多数ある映画ではあるけども、そんなことを微塵も感じさせずに映画的な真実として観客に納得させてしまうところは、やっぱり作り手が上手なんですよ。

2009年11月30日

ダーティハリー

Dirty Harry
1971年/アメリカ
監督:ドン・シーゲル
出演:クリント・イーストウッド ハリー・ガーディノ アンディ・ロビンソン ジョン・ヴァーノン レニ・サントーニ ジョン・ラーチ

NHKのBS-2は、とにかくあらゆるジャンルの名作を放送してくれるなあ。もちろんCMなしのノーカット。受信料払ってないのに多少罪の意識を感じるところではあるw

さて、70年代アメリカ映画というのは、かつてないほどの多様性を見せた時代である。この『ダーティハリー』は俺が小学生のときに初めて淀川さんの「日曜洋画劇場」(山田康夫の吹き替え!)で観て、アメリカ映画の面白さというものをハッキリと実感した映画でもあった。そう、ドン・シーゲルとイーストウッドによって、アメリカ映画を発見させられたのだ。この映画を観た翌日、学校でイーストウッドの真似をして「ダーティハリー恭平だぜ!」とか言って粋がってたのが懐かしくも恥ずかしい(笑)

おそらく、本作とスピルバーグの『ジョーズ』そしてトビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』。この3本が、「面白さ」と大ヒットという「栄光」を同時に獲得した、幸運な70年代アメリカ映画のベスト3だと思う。

光と影の演出。横へ横への移動を始めとした映画内空間の造形。やっぱり技術的にもとても優れた映画だ。黒々と光るマグナム44の迫力と、前半でチンピラをいたぶるシーンとクライマックスのシンクロニシティ。そしてイーストウッドのヒロイックな人物造形。やはりこれは傑作でしょう。

目標の300本まであと25本! 12月で25本か。極端に仕事が忙しくならなければ何とか行けそうですな(汗

★★★★★★★★☆☆

2009年6月18日

真昼の死闘

Two Miles for Sister Sara
1970年/アメリカ
監督:ドン・シーゲル
出演:クリント・イーストウッド シャーリー・マクレーン マノロ・ファブレガス 
アルベルト・モリン アルマンド・シルヴェストレ ジョン・ケリー

合間合間のドンパチシーンはとてもイイのだが、どうもシャーリー・マクレーンの描き方が中途半端な印象を受ける。イーストウッドとの道中で酒をあおったり隠れてタバコを吸ったりを我々は見せられてるだけに、売春宿で娼婦仲間の手荒な祝福を受けても、「ふ~んやっぱりね」としか思えなかった。

クライマックスで、投げたナタが顔に突き刺さる場面は、同時期に制作されたマリオ・バーヴァの『血みどろの入江』と全く同じ切株描写だ。(どっちが先かは知らないが、偶然とすればかなり奇妙ではある)

★★★★★☆☆☆☆☆