2009年2月4日

鬼軍曹ザック

The Steel Helmet
1950年/アメリカ
監督:サミュエル・フラー
出演:ジーン・エヴァンス ロバート・ハットン スティーヴ・ブロディ 
ジェームズ・エドワーズ リチャード・ルー シド・メルトン

戦争映画の完成形がここにある、と言っても過言じゃないでしょう。60年近くも前にこんな映画が出来上がっちゃってるんだから、以降戦争モノ(特にベトナム戦争)を撮る人はキツかっただろうなぁ。後の『最前線物語』のほうが評価は高いんだろうけど、俺はこっちのほうが好き。

それぞれのカットの余韻を削ぎ落とし、とてもゆったりとしたカットを数秒挿入する、という繰り返しでフラーの映画は作られていく。ああ、この絶妙なバランス感はこういうことなんだなぁ・・・。

かと思えば、様子を見に行った兵が爆死するシーンや、捕虜を近距離から撃って殺すシーンの唐突さに呆れかえり、仏像を俯瞰気味に捉えたカット、ザックが韓国人の子供のお守りに”ショートラウンド”と書くシーンの情緒溢れる演出にしんみりする。低予算のため、砲撃の場面ではニュース映像や他の映画のシーンを流用するわけだが、それを恥じるでもなくあざとくやってのける。

こう書いてしまうといかにも乱暴な作りのようだが、それがぜんぜんそうじゃないのだ。一度観てみればわかる。凄いんだから。面白いんだから。

★★★★★★★★★☆

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