2009年1月31日

エイリアン4

Alien:Resurrection
1997年/アメリカ
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:シガーニー・ウィーヴァー ウィノナ・ライダー ロン・パールマン 
ダン・ヘダヤ J・E・フリーマン ブラッド・ダリフ

うん、いいです。悪くない。ジュネらしいケレン味の強さは好き嫌いが分かれるだろうが、陰惨で独りよがりな『3』はもちろん、『2』よりも俺は好き。予算たくさんあったのか、見せ場たっぷり用意してますね。

リプリーが、自身のクローンとしての失敗作と対峙するシーンがたまらなく好きだ。ホルマリン漬けになった失敗作たちのグロテスクなこと!(岩明均のマンガ『寄生獣』をなんとなく思い出した) さらに、クイーンからニューボーンが発生する場面の凄まじさ。

★★★★★★☆☆☆☆

座頭市

2003年/松竹=オフィス北野
監督:北野武
出演:ビートたけし 浅野忠信 大楠道代 橘大五郎 夏川結衣 
ガダルカナル・タカ 岸部一徳 石倉三郎 柄本明 大家由祐子

北野武が放つ一級のエンターテイメント時代活劇。

飛び散る血しぶきの演出と殺陣のカット割りは特筆すべきで、編集も含め、丁寧に丁寧につくられていることがわかる。こういう映画は大好きです。

何より、たけし演じる市の身のこなしが素晴らしい。寡黙な市がポツリと話すシーンの画面に漲る緊張感は只事ではないし、特に、丁半博打でイカサマを見破る静から動への移行。画面のつなぎで観客を感動させる手法とはこういうことだ。

タカのお笑いシーンが妙に浮いていたり、どことなく作りが雑な場面もあるのだけども、そんなの関係なく楽しめてしまうのは演出家のウデでしょう。

ラストのタップダンスもGOODです。

★★★★★★★★☆☆

ドッグヴィル

DogVille
2003年/デンマーク
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマン ポール・ベタニー クロエ・セヴィニー ローレン・バコール パトリシア・クラークソン ベン・ギャザラ フィリップ・ベイカー・ホール ジェームズ・カーン ステラン・スカルスガルド

説教臭さとこれ見よがしな構図が鼻についた『ヨーロッパ』以来、フォン・トリアーは敬遠してた。(あの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』さえ観ていない!)

グレースを投票で受け入れるまでの牧歌的な雰囲気はどこへやら、中盤以降はあまりの陰惨さにびっくりするが、これはなかなかイイです。白線で仕切られただけのまぼろしの建物が立ち並ぶドッグヴィルの町。始まって10分もすればこの構図にも慣れる。

美術的な小道具を含め余計な装飾を削ぎ落としたこの作品、役者によって支えられている映画だ。主役のニコール・キッドマンの美しさと存在感は言うまでもないが、トムの父親ベイカー・ホール(『マグノリア』のクイズ司会者が印象的)に、ギャングのボスを老練な佇まいで演じるジェームズ・カーン。そして、嬉々としてグレースの太腿を撫でる盲目の老人はベン・ギャザラ!

ラスト、黒塗りのキャデラックでのグレースと父親の会話が冗長だが、その後に訪れる未曾有のカタルシス。人間のダークな裸の部分を赤裸々に観客に見せつける様はカサヴェテスに通ずる部分もあるが、悪意を感じる分だけ俺には重い。

しかし、フォン・トリアーって人は壮大な釣り師だねw

★★★★★★★☆☆☆

スペース カウボーイ

Space Cowboys
2000年/アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド トミー・リー・ジョーンズ ドナルド・サザーランド 
ジェームズ・ガーナー ジェームズ・クロムウェル マーシャ・ゲイ・ハーデン

かつて空軍で宇宙飛行士を夢見た4人のジジイたちが、ロシア衛星の軌道修正のためスペースシャトルで宇宙に旅立つ。

このキャストは反則だよなぁ。70歳でもカッコいいイーストウッドはもちろん、タトゥーの入った元牧師のJ・ガーナーに、デカマラで女食いのD・サザーランド。知り合いの近況を尋ねると必ず死んでいるという "KY"なトミー・リー・ジョーンズ。

今作はいい意味でも悪い意味でも「アメリカ映画」なので、余計なラブロマンスも加味されつつで散漫な印象も拭えないが、後半、ロシア衛星の不気味な造型と壮絶な破壊のシーンは映画でしか表現できない完全たるスペクタクル!

しかし、似たようなテーマの『アルマゲドン』もそうなんだけど、宇宙に飛ぶまでの前半部分のほうが魅力に溢れています。かつてのチーム・ダイダロスのメンバーをイーストウッドが集めるシークエンスの興奮はどうだろう! イーストウッドは「映画を観てる」という感覚にさせてくれるので、安心して身を委ねることができる数少ない監督のひとり。まだまだ元気にメガホンを取り続けてほしいなぁ。

★★★★★★★☆☆☆

2009年1月28日

チャイニーズ・ブッキーを殺した男

The Killing of a Chinese Bookie
1976年/アメリカ
監督:ジョン・カサヴェテス
出演:ベン・ギャザラ ティモシー・アゴリア・ケリー シーモア・カッセル 
アジジ・ジョハリ メーダ・ロバーツ アリス・フリードランド

予定調和的なカット割りを排した編集や、意表を突くクローズアップ、 (一見すると)いい加減なフレーミングは、カサヴェテスの真骨頂ですね。

それにしても、話はよくわからない。第一、借金のカタとはいえ、なんで中国マフィアのボス暗殺をストリップバーのオーナーに依頼するのか。風呂場での暗殺シーン、ギャザラが一発打ったあとに聞こえる銃声は?

まぁベン・ギャザラの佇まいを観てるうちに、話の筋なんてどうでもよくなってくるんですけどね。それだけこの人物造型は見事というしかない。こんなフィルム・ノワールはカサヴェテスにしか撮れないでしょう。

★★★★★★★☆☆☆

2009年1月24日

蝋人形の館

House of Wax
2005年/アメリカ
監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:エリシャ・カスバート チャド・マイケル・マーレイ ブライアン・ヴァン・ホルト 
パリス・ヒルトン ジャレッド・パダレッキ ジョン・エイブラハムズ

車とセックスにしか興味がない能天気な若者たちが、 遊びの途中迷い込んだ町で血祭りに上げられるという、 90年代後半以降量産されている若者巻き込まれ型ホラーの典型。

ゼメキスとJ・シルヴァー主宰「ダーク・キャッスル」の手による、 これまたリメイク作品ですね。TATARI タタリ』『ゴーストシップ』とか、 超自然系の純粋ホラーが多かったけど、 スラッシャー系は珍しいんじゃないかな?

しかし、これもちょっと尺が長いなぁ。 この内容なら90分に収まるはずだが・・・ カット数が絶対的に多いんだと思う。 商業的な事情もあるだろうけど、せっかく撮ったものでも 切り捨てる勇気が欲しいところではあるね。

特に前半に余計なシーンが多くダレており、 夜のシーンが多いためか画面がどうも暗くて 「いくらなんでもなあ」と思ってたところだが、 蝋人形の町に迷い込んでからのスピーディ感はGOOD。 クライマックスがバイオレンスアクションに堕してしまうのは殺人鬼モノだから仕方ないのかもしれんが、蝋人形や館が炎で崩れ落ちる様は壮観。

パリスの死に方があまりに悲惨で笑ったw

★★★★★★☆☆☆☆

2009年1月18日

未来惑星ザルドス

Zardoz
1974年/イギリス
監督:ジョン・ブアマン
出演:ショーン・コネリー シャーロット・ランプリング サラ・ケステルマン 
サリー・アン・ニュートン ジョン・アルダートン

ブアマンをちゃんと観たのは未公開の『ラングーンを越えて』(1995年)以来、2作目。

冒頭のストーンヘッドの物々しさに圧倒されるが、以降は意味不明でシュールな映像のオンパレード。特にラスト30分は映像も物語も錯綜しまくり。良く言えば『2001年宇宙の旅』のスターゲイト開放後のイメージだが、これはある意味モンティパイソンだな・・・

いくつかとても良いシーンもあるのだけど、そもそもスローモーションを多用する演出は俺好みじゃなく、「話はよくわからんけど画面や音を愉しもう」という感覚にもならない。

衣装が薄いもんだからオッパイがふんだんに出てくるも、困ったことに乳を見せる女優はシャーロット・ランプリングを筆頭に、揃って貧乳である。これは監督の好みか?w

★★★★☆☆☆☆☆☆

2009年1月13日

忘れられた人々

Los Olvidados
1950年/メキシコ
監督:ルイス・ブニュエル
出演:ロベルト・コボ エステラ・インダ アルフォンソ・メヒア


さて、ブニュエルinメキシコである。
初期の『アンダルシアの犬』や『黄金時代』のシュールさも好きだし、『ビリディアナ』以降の自由奔放な出鱈目さも捨てがたいが、彼が最も光り輝いていたのはメキシコ時代だよなぁ。

本作は感化院のPR要請を受けて撮られた映画ということだが、そういったプログラムピクチャーの枠組みの中で しっかりと優れた映画を作る人には敬意を表したい。フライシャーしかり、ドン・シーゲルしかり、マキノ雅弘しかり。

観客までも突き放したニヒルな視線は独自のもので、ブニュエルは人間ドラマに興味が無いことが一目瞭然だが、 唐突な鳥の出現や、女の足へのフェチシズムなどいわゆる「ブニュエルらしい」記号をあげつらって語るのは、ブニュエルに失礼だと思う。

・・・が、ハッとさせられるシーンがある。ペドロがカメラに向って卵を投げつける場面。「あのね、これは映画なんですよ」の再確認。ブニュエルも人が悪いなぁ(笑)

★★★★★★★★★☆

2009年1月12日

SF/ボディ・スナッチャー

Invation of the Body Snachers
1978年/アメリカ
監督:フィリップ・カウフマン
出演:ドナルド・サザーランド ブルック・アダムス レナード・ニモイ ジェフ・ゴールドブラム ヴェロニカ・カートライト

ジャック・フィニー「盗まれた街」の何度目かの映画化。とにかく丁寧に、丁寧に作りこまれている。こういう映画は大好きです。しかしまぁ、キャストが素晴らしいですね。目に力のある俳優を揃えてる。

そしてラスト、D・サザーランドの咆哮。劇作上ああいう演出は一種の賭けだが、成功している。あと、ノイズ音は意図的に挿入されたものだと思われるが、いいですね、こういう演出。

★★★★★★★★☆☆

2009年1月5日

アフター・アワーズ

After Hours
1985年/アメリカ
監督:マーティン・スコセッシ
出演:グリフィン・ダン ロザンナ・アークエット リンダ・フィオレンティーノ テリー・ガー ヴァーナ・ブルーム ジョン・ハード

しがないワープロ技師が体験する、悪夢のような一夜。

高校生のときに観て面白かったので再見。 とにかくテンポがよくて一気に見せてくれます。

個人的にはスコセッシの最良の仕事じゃないか、と。 気合入りまくりんぐの『最後の誘惑』とか『カジノ』とかイマイチだった。 ちょっと肩の力が抜けたくらいがいい演出するんよこの人。

ロザンナ・アークエットやテリー・ガーなど、 好みの女優が出てるのもポイント高し。2人ともエロいです。 やっぱ女はエロくなくっちゃなぁ・・・と妙に納得してみたり。

★★★★★★★☆☆☆