2009年9月10日

男性・女性

Masculin Feminin
1965年/フランス=スウェーデン
監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ピエール・レオ シャンタル・ゴヤ フランソワーズ・アルディ

この映画はずいぶんと政治的な言説に満ち溢れているが、この後に『気狂いピエロ』や『アルファヴィル』を撮っているのがどうも意外な感じがする。まあそれはいいとして、カフェで口論してた夫が妻に唐突に銃殺されたり、ナイフでレオを脅してた男がいきなりそのナイフで自害したりと、ゴダールらしいブラックなギャグが随所に挿入され、相変わらず笑わせてくれる。

この『男性・女性』を見てると、「真剣にゴダールを見ること」の馬鹿馬鹿しさが実感されるし、誰かが言った「B級映画の出来損ない」という表現がピッタリ嵌まるのもこの映画の他にないのではないか。もちろん、ここでいう「B級映画の出来損ない」とは、最大限の賛辞である。ゴダールはテストで100点満点取るような格好悪いことはしないし、赤点ギリギリなんて愚かなこともしない。毎回毎回あえて意識的に0点を取り続けているようなカッコよさがゴダールなんだと思う。

それにしても特筆すべきはやはり稀代の俳優ジャン=ピエール・レオ! タバコを投げてくわえ(そしてたまに失敗する)、トイレのドアやセメント壁に政治的メッセージを落書きするレオを見てるだけでも充分だという気にさせてくれる。この映画が終わる=レオにもう会えなくなる、というつらい事実が目の当たりになると、ずっとこの映画が終わらなければいいのに、という思いに囚われるのだ。

★★★★★★★★☆☆

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