2009年11月25日

歌行燈

1943年/東宝
監督:成瀬巳喜男
出演:花柳章太郎 山田五十鈴 柳永二郎 大矢市次郎 伊志井寛 瀬戸英一 村田正雄 南一郎 吉岡啓太郎

成瀬の芸道モノらしい王道の画面作りと展開を予想していたのだが、いやはや、中盤以降の幻想的な雰囲気にびっくりした。ヒュ~ドロドロとした効果音に乗せてアンマの亡霊が出てくるあたりなんかは、まさか成瀬が怪談映画を狙っていたとは思えないが、得体の知れない只ならぬ雰囲気を感じた。そして、画面全体がとても力強いなあ。

無表情で舞う山田五十鈴の素晴らしさ。この五十鈴の佇まいにも怪奇映画っぽいムードが漂っている。とても立体的な音の使い方を含め、成瀬映画の中でもとりわけ異色作だと思う。惜しむらくは、章太郎が演じた役を長谷川一夫にやってほしかった。

★★★★★★★☆☆☆

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