2009年12月5日

ガルシアの首

Bring Me The Head of Alfredo Garcia
1974年/アメリカ
監督:サム・ペキンパー
出演:ウォーレン・オーツ イゼラ・ヴェガ ギグ・ヤング ロバート・ウェッバー エミリオ・フェルナンデス クリス・クリストファーソン ヘルムート・ダンディーネ

恋人同士で弁当持ってピクニックに行く場面が前半にあり、寄り添いながら将来の結婚の夢なんぞ語ったりするもんだから「ペキンパーにしては腑抜けてるなあ・・・」と思ってたが、いやいや、ヒーローがウォーレン・オーツでヒロインがイゼラ・ヴェガなのだから、ペキンパーはハナっから美男美女が活躍するハードボイルドには興味がない。オーツが演じるのはしがないバーのピアノ弾きで、ヴェガは娼婦みたいなもの。男くさい、男の映画がここでも展開される。その証拠に、ヴェガ演じるエリータは映画の中盤、墓暴きの最中に(どういうわけか知らぬが)唐突に死んでしまう。

その、エリータが死んでからのオーツのテンションの上がり具合と壊れ具合が、この映画の白眉だろう。ハエがたかるガルシアの首を助手席に乗せ、その首に話しかけながら破滅へまっしぐらのオーツ。メキシコ大地主の屋敷の中で銃を乱射し、逃げる途中で車がハチの巣にされるクライマックス。その後にひんやり訪れる心地よいカタルシスがエンドクレジットに被さる。ジョン・ウーなんぞには100年かかっても追いつけない、ペキンパーの旋律と美学!

ペキンパー諸作の中でもひときわ陰惨な色合いを放つ、ハードボイルドの傑作だ。うーん、やっぱり70年代のアメリカ映画は面白い!

★★★★★★★★☆☆

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