2009年12月12日

美女と液体人間

1958年/東宝
監督:本多猪四郎
出演:白川由美 佐原健二 平田昭彦 土屋嘉男 千田是也 田島義文

『マタンゴ』などに連なる東宝特撮路線の1本。『マタンゴ』のほうが世間的には評価が高いようではあるが、個人的にはこっちが好み。

まあ、白川由美のいかがわしい色気なんかもポイント高いんだけど、やっぱりあの液体人間の動きに尽きる。安部公房の傑作短編「洪水」にインスパイアされたかのような設定なのだが、液体力学の法則を全く無視して壁を這い上がり、触れた人間もまた液状化してしまうという、液体人間のこわさを上手く演出してると思う。液体化する人間は「だんだん」溶けていくのだが、この「だんだん」ってのがミソで、この肉体の変容仮定をじっくり陰惨に見せることで、特撮SFがたちまちホラー映画と変貌するのだ。

あのヤクザがなんでわざわざ白川由美を下水道構に連れて行ったのか?など、シナリオ上の不備は散見されるものの、まあ大した問題ではないでしょう。

★★★★★★★☆☆☆

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