John Carpenter's The Thing
1982年/アメリカ
監督:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル ウィルフォード・ブリムリー ドナルド・モファット キース・デヴィッド リチャード・ダイサート T・K・カーター チャールズ・ハラハン デヴィッド・クレノン
どうだろう・・・その日の気分にもよるが、「貴方の生涯ベストワンは何?」と訊かれたら、これを挙げてしまうかもしれない。今まで20回は見てるかなぁ(ちなみに20回以上見てるのは、これとゴダールの『気狂いピエロ』くらい)。とにかく現場で創作意欲がビシビシと伝わってくる、大傑作。
どっかのアホ評論家がこの大傑作を「特殊メイクがどれだけ上手くできているとか、そういう視点でしか語れない貧しい作品」と、頭の弱い評論を述べていたが、ハッキリ言おう。お前の脳味噌のほうがよほど貧しい。その頭の中に詰まってるのは豆腐か?w
まず、ひとつひとつのカットに全く無駄がない。そして、カットそれぞれが驚愕すべきパワーを持って我々に迫ってくる。こんな奇跡みたいなことは映画だから可能なんだな。
シベリアンハスキー犬の変身シーンはまだまだ序の口。逆に言えば、このシーンやノリスの首がちぎれて蜘蛛になるシーンの特殊メイクばかりが取り沙汰されるから、この映画本来のクオリティが見過ごされてしまう結果となっている。確かに、CGではないロブ・ボッティンの手作りの特殊メイクはすばらしい。が、映画が本来持つ大きな力をこれだけ再認識させてくれる映画もない。だから我々は、「アメリカ映画」を観るために、わざわざ1800円も払っていそいそと映画館の暗闇に出かけるのだ。
血液検査のシーンが筆舌に尽くしがたい。観客までもが「物体」にのっとられていると信じて疑わない隊長に、カート・ラッセルが「お前は最後に検査する」と言い、熱した鉄線をパーマーの血液に触れた瞬間の演出の迫力と戸惑いと驚き! 血が熱から逃げて「キュエー!」と逃げ惑い、ウィンドウズの持つ火炎放射器はなぜか不調で火を吹かない(お約束だがw)。
ノルウェー基地から拾ってきた、顔が半分に裂けた(つまり、同化される途中の)死体のアヴァンギャルドさがもう最高だし、お互いに疑心暗鬼に陥る中での急に駆け出してライフルを手に取るウィンドウズの表情と、それに銃を突きつけるギャリー隊長のスタンスとか。もう、語り始めたらキリがないので、 このへんでやめます。
ああ、どこかでリバイバル上映してくれないかなぁ・・・ 家族が死のう自分が死のうが、何を差し置いても観に行くのに。
★★★★★★★★★★
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