2009年6月7日

怪談かさねが渕

1957年/新東宝
監督:中川信夫
出演:若杉嘉津子 和田孝 北沢典子 丹波哲郎 中村彰


クライマックス15分、お累の死を告げる籠の場面から、新吉とお久が羽生へと逃げる、一連の怒涛のシークエンス! これでもかというほど執拗なお累の特殊メイクと、陣十郎への絡み。切りつけても幽霊が忽然と消える演出は編集によって成されているが、多少の技術の稚拙はあれど、映画の質に関わるほどではない。墓標と灯篭が3つ並ぶラストカットの余韻。

怖さという視点では『東海道四谷怪談』や『亡霊怪猫屋敷』に見劣るものの、倍の長さでリメイクされた中田秀夫の『怪談』が見るも無惨な出来なだけに、中川信夫版オリジナルの素晴らしさがいっそう際立つ結果となっている。

★★★★★★★★☆☆

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