2009年8月30日

悪魔の棲む家(2005)

The Amityville Horror
2005年/アメリカ
監督:アンドリュー・ダグラス
出演:ライアン・レイノルズ メリッサ・ジョージ フィリップ・ベイカー・ホール

なかなか珍しいパターンだが、こっちのリメイク版のほうが面白い。まあ、オリジナルが無惨な出来映えってのもあるけどw なにしろ、コンパクトにまとまっているのがイイです。オリジナルはダラダラしてるからね。主人公がどんどん狂っていく様子の描写、特に子供に薪を両手で支えさせて斧を振り下ろす場面なんかは秀逸。「あ、もう狂ってるな」、っていうね。開き直って幽霊をどんどん見せるのもアリだと思う。あと、女の子が屋根に登って親をドキドキハラハラさせるあたりの描き方もなかなかいいアイデアだ。

★★★★★☆☆☆☆☆

2009年8月29日

悪魔の棲む家(1979)

The Amityville Horror
1979年/アメリカ
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
出演:ジェームズ・ブローリン マーゴット・キダー ロッド・スタイガー

だいぶ昔に日曜洋画劇場かなんかで見たような記憶は微かにあるけども、まあほとんど覚えてなかったから初めて見たようなもんですね。オヤジが家に棲むものにとり憑かれて家族をオノで襲うのがクライマックスって、こりゃ完全に民家版の『シャイニング』じゃないですか(製作順はこちらのほうが先だけど)。しかしまあ、出来の悪い映画です。

最初のほうでハエにたかられた神父が霊に"Get Out!!"ってはっきり言われてる時点で、どうもこの映画にはノリ切れなかった。ああいう場面をもっと工夫して演出するのが映画の醍醐味ってもんでしょうに。クライマックスもカット割りがテキトー過ぎて何がどうなってるのか判りにくいし、車の中でオヤジの生還を祈ってる子供たちも、なぜかニヤニヤしてて緊張感がまったく無い。

シスターが車のドアを開けてゲロ吐く(そのモノ自体は映らないが)場面が一番印象に残るって、そりゃダメな映画だわこりゃw ハエの顔面のドアップは面白かったけど。

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

2009年8月26日

浮草

1959年/大映
監督:小津安二郎
出演:中村鴈治郎 京マチ子 杉村春子 若尾文子 川口浩 
野添ひとみ 笠智衆 三井弘次 田中春男 入江洋吉

まったくもって小津らしい緊張感が持続しない画面作りのため、ちょっと中盤で中だるみしてしまうのだが、これは大映の美術のせいもあるかもしれない。なんかこうセットや美術全体が雑然としていて、小津の特徴であるキッチリ決まった構図がちょっとブレているのだ。

しかしこれは、我々が、サイレント時代からの小津の画面の組み立てに慣れ親しんでしまったからかもしれず、新たな地平を模索する小津の野心だったのかもしれない。この『浮草』がまったく小津らしくないが故にダメだと言い切る人は、よっぽどの愚鈍か、あるいは相当な悪意の持ち主だろう。

中村鴈治郎の台詞回しや身のこなしには目を見張るものがある。京マチ子の可愛さ、そして、川口浩とのキスシーン。胸がドキドキした。

★★★★★★★☆☆☆

怪異談 生きてゐる小平次

1982年/ATG
監督:中川信夫
出演:藤間文彦 宮下順子 石橋正次

中川信夫の遺作。キャストを3人だけにし、何とも言えず奇妙な「間」を持った映画で、意欲作であることは間違いないのだが、致命的なのは「怖くない」ってことだ。残念ながら失敗作でしょう。

しかし、おちかを演じる宮下順子の色気と妖気はさすが。そういえば自分がガキの頃はテレビの地上波で普通に「にっかつロマンポルノ」が放送されてて、親の目を盗んでこっそり見てたなあ。ずいぶん宮下順子や美保純には興奮させられたもんだ。懐かすぃ。

★★★☆☆☆☆☆☆☆

2009年8月23日

砂丘

Zabriskie Point
1970年/アメリカ
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:マーク・フレチェット ダリア・ハルプリン ロッド・テイラー

アントニオーニの映画なんて久々に見たなあ。10年ぶりぐらいか。そのときはジャック・ニコルソンとマリア・シュナイダーが主演の『さすらいの二人』という映画で、それもつまらん作品だったが、これは輪をかけて酷い。これ見よがしな画のオンパレード。それによって見る者に暗喩の分析を強いるあたりも、スクリーンの向こう側を見よう見ようとするような観客には受けるんだろうが、俺はあいにくそういう映画の見方はできないのだ。それは例えば、大学の授業なんかで使われるタイプの映画(もちろんグリフィスやエイゼンシュタインら、映画創世記の貢献者たちは別です)。

中盤、砂にまみれてのセックスシーンは目を覆いたくなる醜悪さ。ラストの爆破場面を複数のあらゆる角度・遠近のカメラから撮って何度も何度も見せるあたりも、物欲しげで嫌いだ。つーか、やっぱ俺アントニオーニはちょっと受け付けないな。『欲望』はまあまあ好きだけど。

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

真剣勝負

1971年/東宝
監督:内田吐夢
出演:中村錦之助 三国連太郎 沖山秀子

内田吐夢監督の遺作。見るまでは宮本武蔵モノだとは知らなかった(汗)

ラストの「真剣勝負」の場面が決着する前に、子供の笑顔のアップカットで唐突に「終」の文字が出て映画は幕を下ろす。「ええ!? もう終わり??」と叫んだのは俺だけじゃあるまい。察するに、三国連太郎演じる梅軒が決戦で勝つのだけども、それでは観客が納得しないだろうという制作サイドの思惑で、ばっさり切ってしまったのではないか?

頭に風車を刺して登場する三国や、「乳が張る~!」と叫んで水筒に母乳を噴入する沖山など、キャラクターが壮絶。もうちょっとこの登場人物たちを見ていたいと思いながらも、(クライマックスのカットのせいで?)75分で映画は終わってしまうのだが、いやいや、実にヘンな映画でした。

★★★★★☆☆☆☆☆

2009年8月22日

ディア・ウェンディ

Dear Wendy
2005年/デンマーク=フランス=ドイツ=イギリス
監督:トマス・ヴィンターベア
出演:ジェイミー・ベル ビル・プルマン マイケル・アンガラノ 
クリス・オーウェン アリソン・ピル

前半はナレーションだらけ。ナレーション、ナレーションの嵐。物語はとても単純なのに主人公の心象風景や状況を説明するナレーションで溢れかえる。いったいいつになったら映画が動き出すのか? 見てるほうはイライラすることこの上なし。これはフォン・トリアーの脚本がそうなっているのか? 考えてみれば『ドッグヴィル』や『マンダレイ』もそうだったな。

てなわけで、フォン・トリアー印がかなり深く刻印されているので相変わらずのアメリカ批判、銃批判っぽいアイロニーが鼻につくが、ラストの銃撃戦のアクションはなかなか見ごたえがあった。スーザンが店の中でいきなりオッパイ丸出しにしたり、黒人のおばさんがデカイ鞄から散弾銃を取り出していきなり保安官を正面から撃ったり、ああいう「うおっ!」っとなる演出は好きである。トマス・ヴィンターベアという人にはちょっと注目してみよう。

★★★★★☆☆☆☆☆

ダークネス

Darkness
2002年/スペイン
監督:ジャウマ・バラゲロ
出演:アンナ・パキン レナ・オリン イアン・グレン ジャンカルロ・ジャンニーニ

正直、『ダークネス』というタイトルの時点でいやな予感はしたのだが、案の定、映画はそのほとんどが暗闇で進行する。しかもうちは液晶テレビで黒い部分が潰れるので、何が起こっているのかいまいち判りにくい。特にクライマックス10分は皆既日食(!)が絡んだ場面なので、もうお手上げだ(笑) 根本的に暗い映画は好きじゃないので。。。

スペイン映画らしい陰惨とした雰囲気は伝わってくるのだが、救いのない惨劇を狙ってみたもののの、ワケのわからないままで終わってしまった。クライマックスでジャンニーニが「お前に任せた」みたいなことを言って女の子を開放するのだが、まるで意味がわからない。「なぜそんなことを」と訊かれても、答えが「宗教的な理由だ」では、観客も納得できませんぜ。思わせぶりな小道具やエピソードがやたら出てくるけど、それもほとんど回収されないまま映画はエンドロールに。

主役の巨乳の女の子は『ピアノ・レッスン』の子か。ずいぶん(いろんな意味で)大きくなりましたなあ。

★★★☆☆☆☆☆☆☆

2009年8月20日

暗黒街の弾痕

You Only Live Once
1937年/アメリカ
監督:フリッツ・ラング
出演:ヘンリー・フォンダ シルヴィア・シドニー ウィリアム・ガーガン 
バートン・マクレーン ジーン・ディクソン ジェローム・コーワン

どこを切り取っても素晴らしく魅力的な画面に満ちあふれている傑作。
スリルと謎に満ちた銀行襲撃シーン、独房からの光と影の鮮烈なイメージ、庭の池のカエル、シドニーの潤んだ目とちょっと奇跡的な演技、どれもこれもが目が眩むようなとてつもない完成度! やや露出オーバー気味の撮影も、この稀有のフィルム・ノワールにはとても純度の高い効果を発揮していると思う。

やっぱり、映画にとって大事なのはストーリーじゃない。それは、画面、音。そしてそれらは、映画本来が持つ根源的な力だ。この作品を観ると、俺はいつも一定の場面で泣いてしまう。それはもちろん「物語」に涙しているのではなく、画面の透明さ、そしてラングの映画への徹底した忠実さに涙ぐむのだ。

★★★★★★★★★☆

2009年8月18日

遊星よりの物体X

The Thing(From Another World)
1951年/アメリカ
監督:クリスチャン・ネイビー
出演:ケネス・トビー マーガレット・シェリダン ロバート・コーンスウェイト

1950年代のアメリカといえば、ビミョーな空想科学描写を配したSF映画が流行っていたときなので、こんな映画は画期的だっただろう。しかし、異星からの怪物が攻めて来てるというのに、こののんびりした雰囲気はいったいどうしたことか。牧歌的なムードにも程がある。ジョークを飛ばしている場合じゃない。又、登場人物が「打ち合わせる」シーンがあまりにも多いせいか、映画全体に緊迫感がない。これはこういう映画においては致命的じゃあるまいか? 物体Xの登場場面に至っては、完全にギミック演出に堕し、面白くもなんともない。

ジョン・カーペンターの手による傑作リメイク版『遊星からの物体X』に比べると、あまりにも無惨な出来。

★★★☆☆☆☆☆☆☆

2009年8月17日

北北西に進路を取れ

North by Northwest
1959年/アメリカ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ケイリー・グラント エヴァ・マリー・セイント ジェームズ・メイソン 
ジェシー・ロイス・ランディス マーティン・ランドー

プロットが多少強引だろうが、決定的に尺が長かろうが、そんなことはこの映画の面白さの前では枝葉末節でしかないだろう。なんてクレバーな演出なんだろう。ひとつひとつ論うような無礼は慎むが、グラントが冒頭、タクシーで秘書にいろいろ指示を出す描写。ものの1分でグラントのキャラクターを描いてしまうあたりは、圧倒的にヒッチコックは巧い。スピルバーグやダルドリーなら10分かかるだろう。

ラストのマッチカットは、「映画ってこんな感じだよねアハハハハ」というヒッチコックの笑いが聞こえてきそうなあざとさだが、これはこれでとても好きだなぁ。あと、個人的に好きなのは、農道の真っ只中にポツンとあるバス停にグラントがスーツ姿で佇んでいる場面。そのあと、これまたスーツ姿の男が逆方向のバス停に現れるが、こいつは別に関係なかったという(笑) ジェームズ・メイソンの不敵な感じもとてもいいし、エヴァ・マリー・セイントの悪女っぷりも最高だ。

ヒッチコックでは一番好きな作品かもしれない。

★★★★★★★★☆☆

2009年8月16日

銀河

La Voie Lactee
1968年/フランス=イタリア
監督:ルイス・ブニュエル
出演:ポール・フランクール ローラン・テルジェフ アラン・キュニー 
デルフィーヌ・セイリグ ピエール・クレマンティ エディット・スコブ

キリスト教の宗教的なモノが色濃く出過ぎていて、俺のような無神論者には極めて判りにくい題材である。「ブニュエルも無神論者なんだなぁ」ってのはよく理解できるけども、テーマ性が勝ちすぎていて、映画ファンとしてはちょっとキツイ展開。

キリスト教~大義の宗教への揶揄・・・というか、宗教を徹底的に茶化そうとしたブニュエルの志は最大限に評価するとしても、映画としては平均点を上回るデキではないと思う。

★★★★☆☆☆☆☆☆