1959年/大映
監督:小津安二郎
出演:中村鴈治郎 京マチ子 杉村春子 若尾文子 川口浩 野添ひとみ 笠智衆 三井弘次 田中春男 入江洋吉
まったくもって小津らしい緊張感が持続しない画面作りのため、ちょっと中盤で中だるみしてしまうのだが、これは大映の美術のせいもあるかもしれない。なんかこうセットや美術全体が雑然としていて、小津の特徴であるキッチリ決まった構図がちょっとブレているのだ。
しかしこれは、我々が、サイレント時代からの小津の画面の組み立てに慣れ親しんでしまったからかもしれず、新たな地平を模索する小津の野心だったのかもしれない。この『浮草』がまったく小津らしくないが故にダメだと言い切る人は、よっぽどの愚鈍か、あるいは相当な悪意の持ち主だろう。
中村鴈治郎の台詞回しや身のこなしには目を見張るものがある。京マチ子の可愛さ、そして、川口浩とのキスシーン。胸がドキドキした。
★★★★★★★☆☆☆
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