2009年8月20日

暗黒街の弾痕

You Only Live Once
1937年/アメリカ
監督:フリッツ・ラング
出演:ヘンリー・フォンダ シルヴィア・シドニー ウィリアム・ガーガン 
バートン・マクレーン ジーン・ディクソン ジェローム・コーワン

どこを切り取っても素晴らしく魅力的な画面に満ちあふれている傑作。
スリルと謎に満ちた銀行襲撃シーン、独房からの光と影の鮮烈なイメージ、庭の池のカエル、シドニーの潤んだ目とちょっと奇跡的な演技、どれもこれもが目が眩むようなとてつもない完成度! やや露出オーバー気味の撮影も、この稀有のフィルム・ノワールにはとても純度の高い効果を発揮していると思う。

やっぱり、映画にとって大事なのはストーリーじゃない。それは、画面、音。そしてそれらは、映画本来が持つ根源的な力だ。この作品を観ると、俺はいつも一定の場面で泣いてしまう。それはもちろん「物語」に涙しているのではなく、画面の透明さ、そしてラングの映画への徹底した忠実さに涙ぐむのだ。

★★★★★★★★★☆

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