2009年10月9日

慕情

Love is a Many-splendored Thing
1955年/アメリカ
監督:ヘンリー・キング
出演:ジェニファー・ジョーンズ ウィリアム・ホールデン イソベル・エルソム ジョージャ・カートライト トリン・サッチャー マーレイ・マシソン

戦後の香港を舞台に、特派員記者の男と医師の女が恋に落ちる”よろめき型”メロドラマの秀作。

冒頭で救急車が香港の街中を縫うように疾走する躍動感、湖の向こうにある友人宅に2人で泳いで行くというセンスとか、ここの場面もとても面白い。ジェニファー・ジョーンズがイギリス人と中国人のハーフというむちゃくちゃな設定なのだが、それを映画的事実として観客に正面から受け止めさせるのは、キングの演出が優れているからだと言い切ってしまって良いと思う。重慶で叔父一家と再会するシーンの違和感なんて、別にどうでもいいではないか!

中盤とラストに出現する、頂上に小さな木が立った丘の草原。この斜面の描写がとても印象的。というか、この丘の場面がなかったら凡庸な作品だと思うぞ。ラスト、その丘でジョーンズが泣き崩れるも健気に起き上がり、丘をゆっくりと降りてくる場面にTHE ENDの文字が重なる。このあたりの演出センスもとても好きだ。シネスコを効果的に使った画面設計も見事。

★★★★★★★★☆☆

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