2009年10月10日

ラスト、コーション

色・戒 / Lust, Caution
2007年/アメリカ=中国=台湾
監督:アン・リー
出演:タン・ウェイ トニー・レオン ワン・リーホン ジョアン・チェン トゥオ・ツォンホァ チュウ・チーイン

凄いなぁ。ほんとに凄い映画だ。

冒頭、4人の女性たちが麻雀の卓を囲む場面のとてつもない緊張感。ここからこの映画に一瞬たりとも目が離せなくなる。そういったあたりを含め、とにかく編集が素晴らしい作品だ。

主演のタン・ウェイが、急進的にレジスタンス運動にのめり込んでいくわけだが、何が彼女をそうさせるのか? この理由的な部分をバッサリ切ってしまったのは潔いと思う。なぜなら、この心象まで描いてしまったら3時間を超えてしまうから。俺のような凡人には、ひとつの映画を集中して見続けるのは、2時間半が限界である。

それにしてもトニー・レオン! 冒頭で彼が出現したときは、「このちっちゃいオッサンが女を狂わせる役柄なのかよー」と思ったものだが、なんのなんの、冷えた眼と落ち着いた演技、さりげない目配せと気配りの演技!全てが素晴らしい。特にラストシーンの、クルマの後部座席にダイブする場面の緊張感とスピード感の素晴らしいこと! 中国圏にはこんな役者が居るのだ! 

鏡、そして、窓に写る男と女、これはそういう「反射」の映画だ。そして、絶えず交わし交わされの視線。再会したウェイとレオンがホテルの一室で出会う場面の緊張と驚き。そこでの視線の合戦。

有無を言わさぬ傑作。劇場で見たときの感動が間違いではなかったことを、テレビで観て改めて実感した次第です。アン・リーには確かな演出力がある。

★★★★★★★★★☆

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