2009年7月15日

JAWS/ジョーズ

Jaws
1975年/アメリカ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ロイ・シャイダー リチャード・ドレイファス ロバート・ショー 
ロレイン・ゲイリー マーレイ・ハミルトン

いやあ、何度見ても最高に面白い! 文句なしにスピルバーグの最高傑作でしょう。 なんのことはない、才能ある演出家が巧みに演出すれば、幽霊でも ドラキュラでも怪物でもなく、「水」で観客を怖がらせることができるのだ。

巧みな演出を挙げればキリがないのだが、署長ロイ・シャイダーがサメをおびき寄せるために魚を海にまくシーンが秀逸。ロバート・ショーに何か言われ、それに答えるシャイダーを画面のやや右寄りに据えて観客の目をそちらに逸らせ、次の瞬間、画面の左寄りにサメの巨大な顔がザッパーン!と現れる。 これが、セリフの間といい画面の中の配置といい音楽の入れ方といい、ほんと絶妙だ。巻き戻して何度も見てしまったよ。

改めて見てみると、それ以外にもとても印象的な場面がある。ドレイファス演じる海洋学者がサメを称し「あれは人間を食べる機械だ」と表現するシーンがそれ。観客は、ドレイファスのこのセリフをきっかけにこの作品に爽快な海洋冒険映画を期待することをやめ、「機械」との陰惨な死闘を待ち望むしかなくなる。 映画のなかでの大きな節目は、このようなクールなひとつのセリフによってもたらされるという、象徴的なシーン。

いったんこの原理が機能し始めると、巨大人食いザメは別になにもしなくてよくなる。3人の無謀な冒険者たちを深い海の中でジッと待ち続ければよい。そうすれば獲物が向こうから勝手にやってくるのだ。 これはもう「ホラー映画」と呼んでしまっていいのではないか。

★★★★★★★★★☆

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