2009年5月5日

気狂いピエロ

Pierrot Le Fou
1965年/フランス=イタリア
監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド アンナ・カリーナ ダーク・サンダース 
グラツィエラ・ガルヴァーニ サミュエル・フラー レイモン・ドボス

高1のとき出会い、映画オタクとしての自分の人生を決定づけた一本。これを観ていなければもう少しまともな人生を歩んでいたはずw

ゴダールの映画は「難解」「前衛的」とか言われることが多いわけだが、確かに既存の映画文法に則った「ストーリーの組立て」という意味ではそう言えるかもしれない。ゴダールに浸ってゆったりと愉しむためには、人々はあまりにも余計なものを見過ぎてきたのだ。

だが、この『気狂いピエロ』はゴダールの中でも極めて「普通に面白い」映画だと思う。説話的な面白さは映画の枝葉末節でしかないが、物語の組み立てという視点でも、他のゴダールほど破綻(?)していない。「男と女の恋の逃避行+ギャングの抗争」のフィルム・ノワールだ。

原色を基調にした映像に、ミュージカル、唐突な銃の撃ち合いの挿入。写真、絵画、コミック、音楽、詩からの膨大な引用。そして、サミュエル・フラー、ニコラス・レイ、ハワード・ホークスなどの映画作家へのオマージュ(フラーに至ってはご本人がパーティに登場!) 車、銃、女・・・ゴダールらしい映画記号。フェード・イン/フェード・アウトを嫌った、アナーキーな音楽の使い方。そして、ベルモンドとアンナ・カリーナの底知れぬ魅力。

「傑作」という言葉を持ち出すのも気恥ずかしい、記念碑的フィルム。

★★★★★★★★★★

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