1937年/東宝
監督:成瀬巳喜男
出演:入江たか子 高田稔 竹久千恵子 逢初夢子 大川平八郎
上映時間の関係か前後半に分かれた構成の、戦前の成瀬作品。
同時期のハリウッド映画に優るとも劣らぬ、見事な画面設計に驚かされる。ロケーションも多いが、スタジオセットできっちり撮られた部分もあり、当時としてはかなり制作費もかけているんじゃないかな。入江たか子と高田稔の苦悩の表情も、作品を支えている。
しかし、しかしである。前後半合わせて150分を超える長尺の中で、成瀬の演出におけるコンセントレーションの持続という意味で、私にはこの映画は訴求しない。
なぜなら、高田稔が見合い相手の竹久千恵子にあっさりと一目惚れする、そして入江が竹久に深い友情を感じるという、この2つの劇作上重要なファクターにおいて、まったく正当性を見出すことができないから。原作や脚本云々より、これは演出家の責任でしょう。特に我々は『浮雲』や『乱れる』での洗練された演出を知っているだけに、余計にそれを感じてしまうわけです。
★★★★★☆☆☆☆☆
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